自宅の一部を民泊として使用する場合
自分が住んでいる住宅(一戸建て)の一部を民泊として利用する場合、必要な消防設備は面積によって異なります。
延べ面積500㎡以上の場合
火災報知設備については、延べ面積が500㎡以上の共同住宅(マンション等)にはもともと設置義務があるため、新たな規定はありません。
また、消火器についても、共同住宅(マンション等)と旅館・ホテルの設置基準が同じであるため、追加の設置義務はありません。
誘導灯に関しては、廊下や階段などの共用部分に再設置すればよいとされています。
なお、避難口までの歩行距離や視認性など、一定の条件を満たせば設置が不要になる場合もあります。
延べ面積300㎡以上かつ民泊部分が10%以上の場合
延べ面積が500㎡未満で、300㎡以上かつ民泊の使用部分が10%を超える場合、建物全体に火災報知設備を設置する必要があります。
ただし、無線式のシステムを利用することで、簡易な後付け工事で対応することも可能です。
消火器については、共同住宅と旅館・ホテルの設置基準が同様であるため、新たな設置義務はありません。
誘導灯については、上記と同様、廊下や階段などの共用部分に再設置すればよいとされています。
また、避難口までの歩行距離や視認性など、一定の条件を満たせば設置不要となる場合もあります。
延べ面積300㎡未満かつ民泊部分が10%未満の場合
延べ面積が300㎡未満で、かつ民泊の使用部分が10%未満の場合、民泊として使用するエリアのみに火災報知設備を設置すればよいとされています。
消火器については、他の住戸と同様の条件で設置すれば問題ありません。
このような場合、小規模施設向けの簡易型火災報知設備の設置が可能です。
消防法令適合通知書(しょうぼうほうれいてきごうつうちしょ)
消防署と協議し、必要な消防設備を設置した後、「消防法令適合通知書」という書類を取得することができます。
この通知書は、民泊営業許可を申請する際に必須の書類です。
まずは、消防署に「消防法令適合通知書交付申請書」を提出する必要があります。
その後、消防署の担当者が現地調査を行い、以下の点を確認します:
- 消防設備が正常に作動しているか
- 防火材料が使用されているか
- 誘導灯などの設備が計画通りに設置されているか
- 避難経路図が掲示されているか
問題がなければ、通常は1〜2週間程度で「消防法令適合通知書」が交付されます。
消防設備の要件
旅館業法の規定により、自動火災報知設備の設置は義務付けられており、国家戦略特区の民泊においても同様に設置が必要です。
特定小規模施設の場合、自動火災報知設備の設置費用は一般的に数十万円程度ですが、有線式のシステムを導入する場合は、数十万円から数百万円に及ぶこともあります。
また、マンションなどの共同住宅において民泊運営を行う場合、建物全体の消防設備基準が引き上げられることがあります。その場合、建物のすべてのエリアに誘導灯や自動火災報知設備、さらには自動スプリンクラー設備などの設置が必要となり、特に大規模な建物では設置費用が数百万円を大きく超える可能性もあります。
消防設備の設置要件は建物の用途や規模によって細かく異なるため、事前に所轄の消防署に相談し、必要な設備を確実に整備することが重要です。
なお、必要な消防設備が設置されていない場合は、「消防法令適合通知書」が交付されず、それにより民泊営業許可の取得ができなくなる恐れがあります。
まとめ
民泊の運営を始める前に、まずご自身の物件がどの条件に該当するのかをしっかりと確認しておくことが重要です。そうすることで、後から予想外の出費が発生することを防ぐことができます。
特に、消防設備の設置は重要なポイントの一つです。消防設備に関する要件は、地域ごとに異なる条例が存在する場合がありますので、民泊運営を本格的に開始する前に、必ず所轄の行政機関や消防署に相談し、法令を遵守した形で準備を進めてください。