民泊ビジネスで利益を出すためには、「収入を増やす」か「支出を減らす」か、どちらかが必要です。
そして、支出の中で大きな割合を占めるのが「清掃費用」です。
清掃代行業者に依頼する場合、ワンルーム(1R)でも1回あたり4,000〜5,000円程度かかります。
一軒家タイプであれば、1万円以上が相場となっています。
チェックリストや具体的な清掃手順を把握した上で、不必要な清掃項目を見直し、そのうえで料金の交渉をするのが理想的です。
今回は、自分で民泊の清掃を行いたい方や、清掃を業者に依頼している方にも参考になるように、具体的な清掃手順をご紹介します!
清掃チェックリスト
- 浴室
- トイレ
- 洗濯機
- 洗面所
- キッチン
- リビング
- 寝室
- バルコニー
- 最終確認
具体的な清掃手順
清掃手順/所要時間:
- 室内チェック(設備チェック、忘れ物確認など)目安時間:5分
- リネン類の回収/撤去 目安時間:5分
- ゴミの回収 目安時間:10分
- 浴室 目安時間:15分
- 洗面台 目安時間:4分
- トイレ 目安時間:5分
- キッチン・ダイニング 目安時間:20分
- 和室(寝室の場合) 目安時間:11分
- バルコニー 目安時間:1分
- 洋室(寝室) 目安時間:12〜24分
- 階段 目安時間:1分
- 廊下 目安時間:1分
- 玄関 目安時間:4分
- 建物周辺 目安時間:4分
- 室内最終確認(リネン・アメニティ補充)目安時間:10分
清掃チェックリスト
浴室
- 水滴・ホコリ・髪の毛がないこと(排水溝も含む)
- 浴室全体が清潔であること(床、壁、扉、浴槽、天井)
- ボトルの向きと順番が正しく、底が濡れていない
- シャワーヘッドやバスタブのコードの向きが整っている
- 鏡に水垢・拭きムラ・指紋がない
- シャワーヘッドと蛇口を清掃済み
- 温度調整バーは40度に設定
- シャンプーなど補充済み(2/3以上)
洗面所
- 水滴・ホコリ・髪の毛がないこと(排水溝も含む)
- 洗面ボウル内が清潔
- 蛇口やハンドソープの向きが整い、底が濡れていない
- 鏡に水垢・拭きムラ・指紋がない
- タオルは正しい向きと枚数で設置
- 歯ブラシ設置済み
- ドライヤーのコードがきちんとまとめられている
- 床が清潔(ホコリ、汚れなし)
- ハンドソープ補充済み(2/3以上)
洗濯機
- ゴミ取りネットが空
- 給水が開いている
- 洗剤補充済み(2/3以上)
トイレ
- ゴミ袋セット済み
- 便器の内側・外側・便座裏を清掃済み
- 壁・床が清潔
- トイレットペーパーホルダーがきれい
- トイレットペーパーの先端が三角折り
- トイレットペーパーが2ロール以上ある
- タオルの折り目が手前に向いている
キッチン
1. シンク
- 水滴・ホコリ・髪の毛がない(排水溝含む)
- 食器用洗剤補充済み(2/3以上)
- 洗剤ラベルの向き・スポンジの位置が正しい
- 蛇口周りに水垢がなく、ピカピカに
- 換気扇のカバーが清潔
- コンロ(IHやグリル内)清掃済み
- 排水ネット設置済み
2. 鍋・フライパン類
- 鍋は乾いており、水分や水垢がない
3. 電子レンジ・冷蔵庫・ゴミ箱
- 電子レンジ内部清掃済み
- 冷蔵庫内に水垢やゴミがない
- 冷凍庫に氷が溜まっていない
- 冷蔵庫下・電子レンジ周りにホコリがない
- ゴミ袋設置済み、ゴミ箱清掃済み
4. 引き出し・食器棚
- 食器・カトラリーは人数分揃っており清潔
- 調理器具・食器に汚れなし
- 扉や引き出しに汚れがついていない
リビング
- 床に汚れ・ホコリ・髪の毛がない
- テーブル、テレビ、窓枠、棚、照明、椅子などにホコリがない
- 椅子の脚の下に髪の毛がない
- ハウスマニュアル、リモコン、備品が整っている
- 飲料水の設置確認
- 掃除機の中が空であることを確認
寝室
- 床が清潔(汚れ・ホコリ・髪の毛なし)
- ベッド間やベッド下のホコリ確認
- ベッドが清潔(汚れ・ホコリ・髪の毛なし)
- シーツ・枕がシワなく、角が整っている
- 掛け布団の足元側がきれいに折り込まれている
- ヘッドボードと布団の間に約15cmの隙間がある
- ヘッドボード・棚・照明・窓枠などにホコリがない
バルコニー
- ゴミがないこと
最終確認
- 全体的にホコリや汚れがないか最終確認
- 電源オフ(エアコン、テレビ、電源)
清掃手順/所要時間
以下は二階建て一軒家タイプ民泊の清掃時間例です。参考用。
想定清掃時間/内容
5分 | リネン類の回収 |
10分 | ゴミ回収 |
15分 | バスルーム |
4分 | 洗面台 |
5分 | トイレ |
20分 | キッチン・ダイニング |
11分 | 寝室①(広さにより調整) |
1分 | バルコニー |
12~24分 | 寝室②(面積により調整) |
1分 | 階段 |
1分 | 廊下 |
4分 | 玄関 |
4分 | 建物周辺 |
10分 | 部屋の最終チェック(補充作業含む) |
① 室内チェック(設備点検・忘れ物確認など)
所要時間:5分
部屋に入る。
換気をする。約5cm程度窓を開けて風の通り道を作る。冬など寒い時期は10分ほどで十分。
臭いを確認する。鼻が慣れる前に意識して匂いを感じ取る。
忘れ物、破損、紛失品がないか確認する。
電球が切れていないか?キッチンの換気扇、全てのベッドサイドランプを点灯する。
トイレを流す。詰まりがないか確認する。
補充が必要な物品をチェックする。
② リネン回収
所要時間:5分
和室→洋室A→洋室Bの順でリネンを剥がしていく。
ベッドの上に忘れ物があることもある。
明らかな汚れがある場合は写真を撮って後で報告する。
血液や嘔吐物がある場合は使い捨て手袋を着用し、感染者との接触を避け、ゴミ袋等に入れて隔離する。
汚れたリネンと清潔なリネンは分けて、リネン業者に渡す。どんなに汚れていても捨てないこと。
タオルなどが部屋のあちこちに散らばっていることがある。
トイレ、洗濯機の中、ベッド下、引き出しの中、バルコニーに干されていることもあるため、足りない場合は必ず丁寧に探すこと。
③ ゴミ回収
所要時間:10分
コストパフォーマンスの良いゴミ袋を使い、以下の順番でゴミを回収する:
その際、隙間モップなどを使用して廊下の髪の毛や、ベッド下、掃除機が届きにくい場所のゴミを先に取っておくと、その後の掃除が楽になる。
順番:
洋室B→洋室A→浴室→洗面所→トイレ→2階和室→リビング→キッチン
集めたゴミは分別してゴミ置き場に出す。
埃などのために小さなゴミ袋を1枚残しておく。
未開封の飲み物や、未使用であっても化粧品はすべて廃棄すること。
※油や塩など、指定されているものの賞味期限は必ず確認し、期限切れで問題があっても責任は負わないよう、別にしておくこと。
④ 浴室
所要時間:15分
バケツセットを用意する。
浴室の外にゴミ袋を設置する。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープなどの備品を確認し、補充が必要な場合は洗面台の上に置く。必要なければ、足マットの上に置いておく。
まず汚れた場所を探す。髪の毛などのゴミはティッシュやトイレットペーパーで取り除き、捨てる。
バスタブの肩下からシャワーヘッドで全体を濡らす。
バスタブ、床、蛇口、鏡、ドアに万能クリーナースプレーを吹きかけ、濡らしたスポンジで塗布する。
バスタブを先にこすり、シャワーで洗い流し、きれいになったかどうかを確認する。滑りが残っていないか手で確認する。
スポンジとブラシで鏡、蛇口、シャワーヘッドを洗う。
床はゴムブラシでこすり、蛇口など細かい部分にも使用可能。
水垢を落とす際は、順番に青いシルクロス→メラミンスポンジ→ステンレスたわし→ダイヤモンドパッドを使う。それでも落ちない場合は、ラップやティッシュで洗剤を包み、時間を置いてから清掃する。
全ての排水口を分解してブラシで洗浄する。
清掃後はスクイージーで水気を取り、シルクロスで拭き上げる。
シャワーヘッドの向きを壁側に調整し、シャンプーボトルの口を直角に、蛇口を水平に揃える。
⑤ 洗面台
所要時間:4分
ここではパルス布と千層布でほとんどの汚れを取り除く。
パルス布は絞ってしっかり水気を切る。菌が気になる部分には万能スプレーを吹きかける。
鏡が極端に汚れていない限り、軽く湿らせたパルス布で拭くだけでOK。
鏡の縁を拭き取り、上から下へ、左から右へジグザグに「Z」を描くように拭く。
終わったら鏡の下から斜めに見て、拭き残しがないか確認する。
浴室と同様に蛇口周辺も清掃する。
パルス布で洗面ボウルの内側を拭く。
排水口のゴミを取り除き、ブラシで洗う。
もし髪の毛などで排水が詰まっている場合:
- 排水口クリーナーで髪の毛を除去
- ドメストを注いで髪を溶かす
- パイプフィニッシュPROで仕上げる
隙間モップで洗濯機の下を拭く。
洗濯機の内側も水拭きする。
部屋に置くアメニティ類を確認・設置する。
ドライヤーのコードを整え、きれいに配置する。
⑥ トイレ
所要時間:5分
清掃道具は他の場所と共用しないこと。
便器の縁に沿ってドメスト洗剤を一周注ぐ。
その他の部分には万能クリーナースプレーを均等に噴霧。
パルス布を使用し、上から下へ順に拭く。
便座の表・裏、便座の裏側を拭く。
便座の隙間などはスクレーパー(ケレン)で布を押し当てて清掃する。
壁、床、便器下部を丁寧に拭き取る。
壁面、床面、便器の底の奥の部分もしっかり拭く。
アンモニア臭が取れない場合は、重曹+クエン酸+お湯を混ぜて湿布清掃を行う。
尿石がしつこく取れない場合は、サンポール(酸性洗剤)で処理する。ただし、他の洗剤とは絶対に混ぜないこと。ドメストが完全に流されてから使用すること。
使用後のトイレ清掃用具はバケツの中でよく洗う。
使用した水はトイレに流して衛生的に処理する。
⑦ キッチン・ダイニング
所要時間:約20分
食器を再度確認して洗浄(ゲストが洗ったものも再確認)
冷蔵庫、コンロ、ガス台、壁に万能スプレーを吹きかけ、水拭き
鍋の水を捨て、水垢が白くなったらクエン酸小さじ1を加えて沸騰
お湯を水切りラックに流して再利用
重曹を加えてリンス、クエン酸に重曹水をかけて中和
コンビニの割り箸やスプーン等は廃棄
電子レンジと冷蔵庫の間をクロスで拭く
換気扇のカバーを毎回拭く
シンク内をスポンジで洗浄、蛇口なども拭き、手洗いやクロス洗浄は最後に行う
棚や時計の上、テレビの裏、エアコンの上はモップで拭き取り
ソファの隙間はフレームブラシで掃除し、全体に消臭スプレー
テーブル、椅子、椅子の裏などを水拭き、テレビ画面は乾いた布で
掃除機は部屋の奥から手前へ。ソファ下、キッチン、テーブル下も忘れず
使用後は掃除機のヘッドを掃除し、ゴミを捨てる
床はパルスイクロスをつけたワイパーで部屋の奥から玄関方向に拭き掃除
窓枠などは定期的に掃除機でホコリ取り
⑧ 和室(寝室想定)
所要時間:約11分
布団を押入れに片付けた後、エアコンの上をハンディモップで清掃
テーブルを湿布で拭き、クッションはコロコロ+消臭スプレー
掃除機 → 水拭き(ワイパー)→ 乾拭き
最後に宿泊人数に応じてシーツ、布団カバーをセット
⑨ ベランダ
所要時間:約1分
室外用のホウキとチリトリでゴミ掃除
汚れが目立つ場合はデッキブラシでこすり、バケツの水で流す
手すりを水拭き
⑩ 洋室(寝室)
所要時間:約12〜24分
ハンディモップでエアコン、棚、ヘッドボードなどを拭く
ベッドはコロコロで均等に清掃
掃除機で床を清掃
シーツなど寝具をセット
最後に床をワイパーで水拭き
⑪ 階段
所要時間:約1分
上から階段を布で拭く
手すりを水拭き → 乾拭き
⑫ 廊下
所要時間:約1分
各部屋の入口から後ずさりしながら掃除機がけ
階段の始まりから玄関まで後ずさりで掃除機
同様に床をワイパーで水拭き
⑬ 玄関
所要時間:約4分
室外用ホウキで掃き掃除
汚れが目立つ場合、水で湿らせてデッキブラシでこすり、ワイパーで水を外へ流す
残置された傘は必要であれば骨の破損を確認し、整えて収納
宿泊人数に応じてスリッパを並べる
⑭ 建物周辺
所要時間:約4分
外周を室外用ホウキで掃除
汚れがあれば水を使い、木製床ブラシで洗浄
3か月に一度はベランダ床を徹底清掃し、必要に応じてエアコン室外機も拭く
⑮ 室内チェック(補充)
所要時間:約10分
掃除終了後、使用した清掃道具を整理整頓
タオル類をすべて洗い、しっかり絞る
すべての清掃備品を玄関に集め、最後に施錠して作業終了
まとめ
今回は、清掃作業を漏れなく行うためのチェックリストをご紹介しました。
すべての作業項目を明確にすることで、ホストの皆様が効率よく清掃を行えるようサポートします。
清掃業者に委託する場合は、事前にこのチェックリストを共有することをおすすめします。
必要に応じて、現地で実際に確認し、改善点などを伝えると、より安心して清掃を任せられます。