民泊事業者が申請時に必要な情報と手続きの流れ

住宅宿泊事業者の届出に必要な情報および手続き

住宅宿泊事業の届出について

住宅宿泊事業を営もうとする方は、「住宅宿泊事業届出書」を作成し、必要な添付書類とともに、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等の主管機関へ提出する必要があります。
なお、原則として、住宅宿泊事業の届出は「民泊制度運営システム」を通じて行うこととされています。

届出の主な流れ(概要)

届出前の確認事項

住宅宿泊事業の届出を行う前に、申請者は以下の事項について事前に確認する必要があります。

  • 賃借人または転借人である場合、賃貸人(オーナー)または転貸人が、当該物件を住宅宿泊事業に使用することに同意しているかどうかを確認してください。
  • マンション等の集合住宅で住宅宿泊事業を行う場合、管理規約において住宅宿泊事業(いわゆる民泊)が禁止されていないかどうかを事前に確認する必要があります。
  • 「消防法令適合通知書」の取得
    ※所轄の消防署にお問い合わせの上、必要な手続きを行ってください。

届出内容について

住宅宿泊事業の届出を行う際には、届出書に以下の事項を記載する必要があります:

  • 届出事項(届出書に記載する内容)
  • 商号・名称または氏名、住所
  • 【法人の場合】役員の氏名
  • 【未成年の場合】法定代理人の氏名・住所
    (法定代理人が法人である場合は、商号または名称・住所・役員の氏名)
  • 住宅の所在地
  • 営業所または事務所がある場合、その名称および所在地
  • 管理を委託する場合、住宅宿泊管理業者の商号・名称または氏名、登録年月日、登録番号、委託契約の内容
  • 【個人の場合】生年月日、性別
  • 【法人の場合】役員の生年月日、性別
  • 未成年者の場合、法定代理人の生年月日・性別
    (法定代理人が法人である場合は、役員の生年月日・性別)
  • 【法人の場合】法人番号
  • 住宅宿泊管理業者である場合、その登録年月日および登録番号
  • 連絡先(電話番号やメールアドレスなど)
  • 住宅の不動産番号
  • 住宅宿泊事業法施行規則第2条に基づく住宅の種別
  • 住宅の形態(戸建て、長屋、共同住宅、寄宿舎など)
  • 住宅の規模(面積や部屋数など)
  • 宿泊期間中、居住者が住宅を離れない場合はその旨の記載
  • 賃借人である場合、住宅の転貸について賃貸人の同意を証明する書類
  • 転借人である場合、賃貸人および転貸人のいずれもが住宅宿泊事業への転貸に同意していることを証明する書類
  • 区分所有建物である場合、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する旨の規定がないこと
    または、規約に明記されていない場合、管理組合が住宅宿泊事業を禁止する意思がないことの確認

届出事項に関する考慮事項

届出単位について

住宅宿泊事業法第3条第2項に基づき、「住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごと」とは、住宅宿泊事業法施行規則第1条に定められた「台所、浴室、便所、洗面設備」が設けられている住戸単位を指します。これらの設備を備えていることが、最小の届出単位となります。

記載方法について

届出書は日本語で記載する必要がありますが、「名称」や「住所」などの固有名詞については外国語の記載も可能です。

[2] 「役員」の定義

「役員」とは以下の者を指します:
株式会社:取締役、執行役、会計参与(法人である場合はその職務を行う職員)、監査役
合名会社・合資会社・合同会社:定款で業務執行社員が定められている場合はその社員、そうでない場合はすべての社員
財団法人・社団法人:理事および監事
特殊法人等:法律により役員とされている、総裁、理事長、副総裁、副理事長、専務理事、理事、監事等

[4] 「住宅の所在地」について

届出対象となる住宅を特定するため、建物名、住居名称、部屋番号等を正確に記載してください。

[6] 「管理受託契約の内容」について

住宅宿泊事業法第34条第1項に基づき、住宅宿泊管理業者との間で締結された管理受託契約には、法律で定められた一定の事項を記載する必要があります。これらの事項は、届出の際に報告しなければなりません。
当該内容が契約書に明記されている場合は、契約書の写しを添付することで足ります。届出書の該当欄には「別添の契約書のとおり」と記載して差し支えありません。

[13] 「住宅の不動産番号」について

住宅が登記されているが不動産番号が未付番である場合、地番や建物番号によって不動産を特定できるのであれば、不動産番号の記載を省略することが可能です。

[15] 「住宅の形態」について

住宅の形態には、以下のような種類があります:

  • 戸建住宅(独立した一戸建て)
  • 長屋住宅(壁を共有する連棟住宅)
  • 共同住宅(マンションやアパートなど)
  • 寄宿舎(寮などの共同生活施設)

届出住宅の実態に応じて、該当する形態を正確に記載してください。

[16] 「住宅の規模」に関する記載事項

居室の面積
宿泊者が実際に使用する部屋の面積を指します。台所、浴室、便所、洗面所、廊下、収納などの居住以外の用途部分は含まれません。面積の算出方法は簡易宿所の計算方法と同様で、「内法面積」(壁の内側から内側までの実寸)を使用します。

宿泊室の面積
宿泊者が就寝のために使用する部屋の面積を指します。収納スペースや床の間は含まれません。面積は「水平投影面積」で計算し、これは部屋の中心線で囲まれる上から見た平面的な面積を意味します。

宿泊者が使用する部分の面積(宿泊室を除く)
宿泊者が宿泊室以外で使用する部分の面積を指し、専用・共用を問わず算入します。これには台所、浴室、便所、洗面所、廊下、収納などが含まれます。面積の算出方法は宿泊室と同様、「水平投影面積」を用います。

[17] 「宿泊期間中に住宅宿泊事業者が住宅に滞在するかどうか」について

住宅宿泊事業法第6条に基づき、安全確保の観点から、宿泊期間中に住宅宿泊事業者が当該住宅に居住しているかどうかを確認する必要があります。
具体的には、住宅宿泊事業者が別荘等の住宅において宿泊期間中に居住していることが求められます。
事業者が短期間離れる場合には、住宅宿泊事業法第11条第1項第2号に定められた「一時的不在」としての要件を満たす必要があります。

なお、以下の点にご注意ください:
住宅宿泊事業者が隣接する住宅に居住している場合でも、「当該住宅に居住」とはみなされず、届出要件を満たさないとされています(国土交通省令第9条第4項に規定あり)。
複数の住戸・建物(例:母屋と離れ)を一つの住宅宿泊事業として扱う場合でも、各住戸・建物については個別に届出が必要です。
(参考:住宅宿泊事業法施行規則および厚生労働省令第9条第4項)

[18][19] 「賃借人」および「転借人」の定義について

賃借人(ちんしゃくにん)
ここでの「賃借人」には、賃貸人(貸主)と直接賃貸借契約を結んでいる者だけでなく、その直系親族が賃借している場合も含まれます。

転借人(てんしゃくにん)
同様に、「転借人」とは、賃借物件を第三者に転貸することを賃貸人が承諾している場合の転借者を指し、その直系親族が転借している場合も含まれます。

[20] 「管理規約における禁止条項」および「規約に住宅宿泊事業に関する明記がない場合の管理組合の意図」について

管理規約における禁止条項
管理規約において住宅宿泊事業が明確に禁止されているとは、通常、「宿泊料を徴収することを目的とした住宅宿泊事業を禁止する」といった内容が記載されている場合を指します。
また、住宅宿泊事業のうち特定の形態(例:民法上の賃貸借契約)だけが許可されている旨が明記されている場合、それ以外の形態による宿泊提供は禁止されていると見なされます。

管理規約に住宅宿泊事業について明記がない場合
管理規約に住宅宿泊事業についての記載がなく、かつ管理組合の総会や理事会において住宅宿泊事業を禁止する旨の決議がされていない場合は、当該管理組合が住宅宿泊事業を禁止していないと判断されます。

関連記事

TOP